活動報告

日独議員団視察報告(山本議員)

活動報告2016.10.13

 

 

文責:山本 のりかず

   ドイツ ハンブルク視察

日独友好神戸市会議員連盟

神戸市会議員訪独団

団長 安達和彦

諌山 大介

植中 雅子

住本 かずのり

長瀬 たけし

平野 昌司

坊 やすなが

守屋 隆司

安井 俊彦

山本 のりかず

随行者:小坂節雄(元ハンブルク総領事)

 

★視察日程

2016年5月17日(火)

関西国際空港発

ハンブルク着

 

2016年5月18日(水)

ハンブルク安沢総領事との打ち合わせ

デューデン副議長(ハンブルク議会)との打ち合わせ

ホルシュタイン氏(内務兼スポーツ省次官)との打ち合わせ

ルレ・ハンブルク観光局担当官とのメディカルツーリズムについての打ち合わせ

モニカ氏(ハンブルク観光局)との打ち合わせ

ハーダース氏(経済局長)、ヒンツェ氏(クラスター担当参事官)との打ち合わせ

キルシュニック氏(ハンブルク航空クラスター)との打ち合わせ

 

2016年5月19日(木)

クラッセン氏(ハンブルク港湾次長)との打ち合わせ

リスペンス氏(再生可能エネルギークラスター)

シェーファー氏(ハンブルク清掃局)との打ち合わせ

カールステン氏(ハーフェンシティ情報センターガイド)との打ち合わせと現場視察

 

 

2016年5月20日(金)

ハーベック氏(医療クラスター)との打ち合わせ

ディール氏(シスメックス・イノスティック社)との打ち合わせ

グロス氏(エアバス・ドイツ本社事務総長)との打ち合わせと工場内視察

 

 

2016年5月21日(土)

ハンブルク発

関西国際空港着

 

 

 

 

 

 

 

 

日独友好神戸市会議員連盟 訪独団

 

ドイツ ハンブルク視察報告書(概要)

 

文責:山本 のりかず

 

■訪問経緯

2015年12月3日において、日独友好神戸市会議員連盟を立ち上げ、神戸市会議員の全議員69名のうち54名が参加する神戸市会最大の議員連盟となっております。過去の歴史を紐解くと、1868年1月1日において、神戸では兵庫開港式典があり、プロイセン代理のマックス・フォン・ブラント公使が式典に出席しております。神戸とドイツの交流は歴史が深く、神戸北野にあるレンガ造りの「風見鶏の館」(旧トーマス邸)は、ドイツ人の貿易商人であるトーマスによって1909年に建築されています。このように、神戸は文化や規律、生活様式等で大変な影響をドイツから受けており、現代においては経済交流も行われています。

具体例の一つとして、シスメックス社(本社は神戸)が北ドイツに進出しており、ドイツからはインゲルハイム社が医療産業都市であるポートアイランドに進出しております。神戸経済の活性化を考える上で、都市間の景観や経済的なファシリティ等が類似しているハンブルクは、大いに神戸経済の発展に参考になると考え、視察先として決定した次第です。

 

■ハンブルク視察に際しての目的と問題意識

日本において、少子高齢化の時代と言われており、2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者となります。そして、4人に1人が75歳以上という超高齢化社会が到来します。神戸においても、例外ではありません。また、2015年国勢調査結果によれば、神戸市の人口(153万7,860人)は福岡市(153万8,510人)に抜かれ、政令指定都市の中で5位から6位となります。もちろん、人口比較だけでは都市の魅力を語ることはできませんが。このような現状を踏まえると、若い世代はもちろんのこと、あらゆる世代に対して、神戸のブランド力をあげ、神戸経済を活性化することが必要で、ひいては税収にも多大な影響を与えるものと考えています。

一方で神戸市において、スクラップ・アンド・ビルドの徹底により行財政改革を進めており、PPPやPFIを導入して、民間活力の導入を実行しつつあります。その先行事例として、ハンブルクは様々な取り組みを実践又は実践しようとしております。ハーフェンシティ計画では、現在工事が進んでおり、民間の投資を基本とした景観構築や防災設備、公園整備、住宅と商業施設の混合施設等が進められています。神戸におけるハーバーランドと景観が類似しています。神戸市では、都心を活性化させるために新神戸から三宮を経て元町、神戸ハーバーランドにかけて都心の「再整備基本計画」を策定し、これから素晴らしい都市空間を作り出そうとしております。また、PFI導入を見据えてハーフェンシティ計画は参考になると考えており、国は違うが採用すべきところは、神戸市でも採用できるのではないか。神戸市においても将来を見据えて、水素エネルギーの活用、港湾での物量増加、医療産業都市神戸、航空産業導入、インバウンド政策等の積極的に展開しようとしております。ドイツのハンブルクでは、再生可能エネルギー分野、港湾物流システム分野、医療クラスター分野、航空産業クラスター分野、観光都市施策分野等が実務的に進んでおります。つまり、神戸市においても当該分野において取り入れるべき施策は取り込んでいくべきという問題意識を持って、視察した次第です。

 

用語補足

・スクラップ・アンド・ビル→老朽化したり陳腐化したりして物理的または機能的に古くなった設備を廃棄し、高機能の新鋭設備に置き換えること。又は行政機構における膨張抑制の方法の一つ。組織の新設にあたっては、同等の組織の廃止を条件とすること。

・PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)→公共施工等の設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用して、公共サービスの提案を民間主導で行うことで、効率的かつ効果的な公共サービスの提供を図るという考え方。

「日時」:2016年5月18日(水)

「対応者」:ハンブルク安沢総領事

「打ち合わせ内容」

視察1日目は、ハンブルク総領事訪問し、安沢総領事と打ち合わせを通じてハンブルクの現状を伺う。

ハンブルクを中心として北ドイツの経済は活性化しています。理由としては、①港湾の整備が進み、これまで倉庫であった建物がオフィスや住居にリノベーションされた上、世界遺産に指定され、2017年1月にはエルプフィルハーモニーという巨大なコンサート場がオープンすることになっています。そして、再生可能エネルギーの一環として風力発電が活発で、プロペラやタービンが製造されています。北ドイツのシュレスヴィッヒホルシュタイン州では風力発電のみで州内の電力を賄っています。②エアバス社(航空機メーカー)の影響があります。現在、エアバス社の航空機はアジアでの販売が好調で、日本企業の中には航空機の内装等で北ドイツに進出する企業が増えています。③北ドイツには、ヴォルフスブルクにフォルクスワーゲンの本社があり、ブレーメンではベンツの工場があり、北ドイツ経済が活性化する要因の一つでもあります。

ハンブルク港は、ロッテルダム港に次いで欧州第2位であり、港が内陸港であるから港湾として優位性を主張する意見があります。理由としては、バルト海とハンブルク港の距離は100キロメートルであるがトラック輸送を省略できるため、東欧諸国へ安いコストにより輸送できるそうです。また、中国経済の不振が心配されるが、スカンジナビア諸国と東欧諸国への中継点としての優位性があるため、景気については心配していないと伺っております。ただ、最近はコンテナ船の大型化によりエルベ河の深さが障害になる可能性があると言われています。

ハンブルクの観光客は、非常に多いと言われています。中国人観光客の伸びも大きいが、あまり目立たない。理由は、ハンブルクには、ドイツ国内からと欧州域内からの観光客が大多数を占めているからです。

欧州の統一通貨ユーロについて、英国のEU離脱問題やギリシャの負債問題等がある中で、ドイツ製品の輸出は好調で、ドイツ経済界はユーロ維持を支持しています。ドイツ人は、日本人と同様に貯蓄を好むが、欧州中央銀行がマイナス金利の導入をしていることを前提に金利が低下していることに対する不満があります。

 

「日時」:2016年5月18日(水)

「対応者」:デューデン副議長(ハンブルク議会)

「打ち合わせ内容」

ハンブルクは、ベルリンと同様に市でありながら州としての機能も有しています。ハンブルクの議員は、他の仕事を兼業している議員が多いため、本会議は15時からで委員会等は17時から開催される。デューデン副議長自身が、日常は図書館で司書として働いています。ドイツの選挙権に関して、16歳から与えられており、ハンブルクでは「It’s your choice」というキャンペーンを展開しており、若者の啓発を実施しています。議員報酬に関して、ハンブルク議員の給料は月額2,600ユーロ(約30万円)です。一方、南部のミュンヘンではバイエルン州の面積が広く、交通費等の負担があるためと職業政治家が多いため月額12,000ユーロ(約150万円)です。ブレーメンにおいては、官僚が議員になる場合が多く、報酬も高いです。ハンブルクは、他の職業も持ったまま議員が多く、ハンブルク市民からの支持も高いです。

 

 

■植中議員の質問

ハンブルク議会への女性進出が進んでいますが、主婦・職業・政治家という3つの役割をどのようにバランスしているのか?

 

■デューデン副議長の回答

私自身は、図書館で司書として週に16時間から18時間勤務しております。孫とは、家庭で一緒に英語を学んだりして仕事とバランスしております。

 

■山本議員の質問

日本では、今年の参議院議員選挙から18歳以上から選挙に参加することができるが、ドイツでは若者に対して、選挙権についてどのような教育を行っているのか?

 

■デューデン副議長の回答

ドイツの選挙権は、16歳以上から与えられています。ハンブルクでは、「それはあなたの選択」というキャンペーンを展開しており、若者向けに啓発活動を実施しております。

 

■住本議員の質問

議員報酬について、議員の任期の長さによって違いがあるのか。

 

■デューデン副議長の回答

議員の任期の長さによる報酬の違いはありません。一方、ハンブルク議員は兼職であるが、市民からの支持は高いです。

 

「見解」

ドイツの地方自治制度は、16州から成り、州が大きな権限を有しております。州は、広域自治体としての郡と基礎自治体としての市町村から構成される二層制を採用しております。特別市は、郡に代わり事務業務も実施するため、一層制の地方自治制度を採用しております。ハンブルクは、市であるとともに州であるため、一層制です。そして、特別市であるハンブルクは、住民に身近な基礎自治体ということにもなります。日本の現状に目を移すと、大阪では、大阪市を特別区にして、大阪都構想に移行する住民投票が昨年の2015年に実施しされたばかりです。神戸市において、兵庫県と連携して二重行政の解消に取り組んでおります。政令指定都市の特別市移行に向けての議論も行われておりますが、地方自治制度の根本的な制度変更する時期にきているかもしれません。神戸市でも、県と同様の事業を実施していることが多々あるので、解消できるところから解消するように促していきたいと考えます。

次に、ヨーロッパのおける主要な国であるドイツでは、地方自治法によって地方議員は『名誉職』と規定され、交通費などの実費を除き、日本のように専業議員は少ない印象を受けます。もちろん、ドイツにおける大都市では、例外もあります。日本とヨーロッパでは、環境や歴史が違うという事実も存在しますが、良い点は日本においても採用すべきと考えます。神戸市会では、費用弁償制度がありますが、実態に応じていない制度です。民間企業と同様に、費用が生じた分だけを精算していく実費弁償制度に移行すべきと考えます。

 

「日時」:2016年5月18日(水)

「対応者」:ホルシュタイン氏(内務兼スポーツ省次官)

「打ち合わせ内容」

ハンブルクは、2015年よりオリンピック・パラリンピックの誘致に向けて取り組んできたが、2015年9月の市民投票によりハンブルク招致が否決され、ハンブルクのショルツ市長も市民意向を尊重して招致は断念した次第です。大都市で、いかにしてスポーツを計画準備するかに、私どもは関心があり、そういう意味でもリオオリンピックや東京オリンピックは関心を持っております。東京オリンピックの概念は、都心10kmの範囲内で競技を集中させるここと認識しております。

次に、増加する難民を地域住民と協力できる関係性を築けるかである。具体的には、サッカーには多くの国から選手が参加しているが、会話ができないわけではない。このような観点からも、スポーツを通じて難民との関係性を築くということが有効な方法です。そして、資金の問題では、企業やマスコミはメジャーな競技には関心を持つが、小規模スポーツには関心が低く、資金確保が問題です。加えて、施設の更新や建設費の資金をどのように確保していくかという問題もあります。

ハンブルクでは、毎年春にマラソン大会があり、2万人近く参加しますが、参加者の同行人数は平均2名で、宿泊効果も出ております。

 

■住本議員の質問

①2020年開催の東京オリンピック開催にあたり、神戸での事前合宿として活用願いたい。

②神戸のスポーツ施設の特徴は、練習所と宿泊所が近接していることです。指導者の方々に、一度神戸のスポーツ施設を見学していただきたい。

③神戸でもマラソン大会があり、経済効果も大きいと感じていますが、ハンブルクではスポーツツーリズムを実施しているのか?

■ホルシュタイン氏の回答

①競技の指導者に伝えておきます。

②わかりました、伝えておきます。

③ハンブルクでは、スポーツツーリズムを実行すべきと意見もあるが、まだ実行しておりません。

 

「見解」

神戸市においても、様々なスポーツ振興に取り組んでいますが、ハンブルクのような難民問題のような課題はありません。但し、神戸の歴史を振り返ると、外国人に開かれた港町として、他国籍の外国人が神戸に住み、神戸にスポーツを紹介した経緯があります。明治時代には、外国人によって六甲山にゴルフ場ができ、日本初のゴルフ場となり、神戸がゴルフ発祥の地とも言われております。そのような観点からも、神戸は、歴史的な事情も踏まえると、海外の方々が過ごしやすいまちであると考えます。これから、神戸市は、神戸とゆかりがある国や都市、スポーツ関係団体等に対して、東京オリンピックの事前合宿候補地として、神戸が選択される働きかけをしますが、議会としてまた議員も一体となって取り組んで参りたいと考えます。

今後、神戸経済の活性化を考える選択肢の一つとして、スポーツツーリズムも神戸市として考えていく必要があると考えます。

 

 

 

「日時」:2016年5月18日(水)

「対応者」:ルレ・ハンブルク観光局担当官、モニカ氏(ハンブルク観光局)

「打ち合わせ内容」

メディカルツーリズムを始めたきっかけは、およそ10年前にハンブルクが湾岸諸国に対する経済的な施策を重視したことによる。そして、ハンブルク市では観光税を導入しており、市における税はホテル宿泊費だけで9百万ユーロになります。そのうち、約半分がメディカルツーリズムに、半分が文化振興に使われています。

ドイツにおいて、アラブ人医師がドイツで研修した割合が多く、ドイツの方が米国より治療費が安いことも挙げられます。そして、ハンブルクメディカルツーリズムの対象は、検診というよりは治療で、癌・関節移植治療等です。加えて、外国人に対する内臓移植は、禁止されており、ドイツ人に対する臓器供給が不足していることが理由として挙げられます。

ドイツの医療保険制度において、90%が公的保険で10%が私的な保険を使用しているが、公的な保険の場合は、治療費の総コストに上限が設けられています。治療費に関して、ドイツ人と外国人との間に価格差はないが、治療費に20パーセントのチャージを科すことが認められている。ハンブルクにおいて、12の病院が外国人の患者を受け入れていますが、そのなかでも2つの病院が受け入れに熱心です。一方で大学病院での受け入れは少なく、湾岸諸国の患者は半年以上入院する例が多く、治療費は前払いで大使館が支払います。一人当たりの治療費データは、企業機密で公表されていないが、外国患者の場合は贅沢な個室部屋を使用し、通訳もつけサービスもいいものを選択するので、当然治療費も膨らみドイツ人と比較して3倍から4倍の費用を支払っていると言われています。湾岸諸国の大使館が一人の患者に支払った例を挙げると、9ヶ月入院した場合で、約30万ユーロ(約3,700万円)であります。外国患者に対するサポート体制は、受け入れ病院で整備しており、通訳等はすべて受け入れ病院で行っています。

ドイツにおいて、外国人に対する臓器移植が禁止されており、外国人の患者がドイツの病院で治療する際は、病院でサポート体制を敷いています。付添人は、平均して3人ぐらいです。加えて、ドイツ人の死因は、肥満による心臓と血管による破裂、次に癌です。

 

「見解」

神戸市では、ポートアイランドにて医療産業都市として研究機関や医療関連企業や大学等が集積しております。産学官の連携によるバイオメディカル分野でのクラスターが形成され、イノベーションに取り組んでおります。神戸市において、メディカルツーリズム実施していくとなれば、多くの障害を乗り切る必要がある。関係機関の理解や協力が必要不可欠であり、受け入れ体制や言語の問題、食生活や習慣等の問題もクリアしていく必要があります。

神戸国際フロンティアメディカルセンター(KIFMEC)は、神戸医療産業都市の高度先端医療中核地域を代表する病院で、2014年11月にオープンしたが、直後の12月から2015年3月までの短期間で、生体肝移植で半数以上の患者死亡が報道された。生体肝移植に関しては、日本肝移植研究会が、事前準備の不足、スタッフ数の少なさなど、技術的環境の整備などに関してKIFMECへの改善点を異例の厳しさで表明しています。厳しい言い方をすると、事実上のメディカルツーリズムの成功モデルとはならず、残念ですが失敗した事例です。

医療ツーリズムを実施するのであれば、再度申し上げると、地域医療機関の理解や協力、国民皆保険制度の平等性を担保していくことが必要です。

一方、徳島県では、これまで人口当たりの糖尿病死亡率が長年全国トップで、この不名誉な記録の下で培った糖尿病の検診、治療技術を医療ツーリスト誘致に結びつけようと、鳴門海峡の渦潮観光とセットにした中国人向けツアーを発案しております。 徳島県が、医療ツーリズムに積極的に取り組む理由について飯泉嘉門知事は「ピンチをチャンスに」という。徳島県は糖尿病による死亡率が14年間連続ワーストワン。徳島大学病院を中心に徳島県を世界レベルの糖尿病研究開発臨床拠点にしようと県を挙げて取り組み始めております。

急速な経済発展で生活習慣が激変した中国で糖尿病患者が急増していることが伝えられ、潜在的ニーズを見出したのだ。徳島県医師会の川島周会長も「中国から検診を受けにくるようになれば、県民も検診に関心を持つようになり、地域医療やがん検診率向上につながる」と指摘しています。

徳島大学糖尿病臨床・研究開発センターは、アジアで増加している糖尿病に焦点をあて、全国に先駆けて糖尿病検診と観光を組み合わせた中国人向けの医療観光を推進しています。検診プログラムは、徳島大と徳島県、製薬会社など産官学が連携して開発したもので、最新機器を使って受診でき、徳島県は「世界レベルの検診と、阿波踊りや鳴門の渦潮など観光も一緒に楽しめる」とPRしてきた。同センターによると、中国では糖尿病患者がこの10年間で5倍に増えているという。検診では血管障害の早期診断と危険因子の評価をトータルに行い、今後の生活指導や治療への指針を作成している。利用者は2010年の開始から4年半で21人という。今後は東南アジアにも誘致活動を拡大する方針です。

徳島大学糖尿病臨床・研究開発センターに直接確認すると、中国の方が担当者ということで対応していただきました。徳島県が、医療ツーリズムに力を入れており、徳島県の上海事務所から情報発信しているとのことです。加えて、中国から日本に留学している学生が、ご自身の両親を診察してもらっている事例もあります。糖尿病検診がメインですが、一般検診の場合もあるとのことです。補足ですが、対応していただいた中国の方は、中国のドクターで徳島大学に留学して博士号の取得を目指しているとのことです。

神戸市においても、徳島県の事例を参考にしつつ、議論を深めていくのも一つの方法と考えます。

 

「日時」:2016年5月18日(水)

「対応者」:ハーダース氏(経済局長)、ヒンツェ氏(クラスター担当参事官)

「打ち合わせ内容」

ハンブルクのクラスター政策が注目されたのは、2008年に連邦政府が実施したクラスター政策のコンクールに優勝したことによります。ご存知のようにハンブルクのクラスター政策は、メディア・ITクラスターから始まり、目的はイノベーションの促進にあります。そして、特定の企業を応援するのではなく、クラスターに参加するすべての企業に恩恵があるようにしなければならないという考え方に基づきます。クラスターの最終的な目標は、イノベーションの拠点としてハンブルク経済の発展であります。クラスターにおいて、産業界、学会、政府の3者を満足させるものでなくてはならず、例えば産業界は、優秀な技術者を獲得できることです。学会にとっては、大学の財政を州政府が負担し、研究開発コストを経済界が負担していくことで研究に専念できます。ハンブルクにとっては、①経済成長が促進され、②若い技術者が育成され、③起業家が育成され、雇用者等が増えることです。

個別のクラスターについて、説明していく。まずは、航空クラスターについて、2001年に設立され約4万人が雇用されており、経済規模で世界第3位です。ハンブルクの航空産業は、100年以上あります。次に、再生エネルギークラスターについては洋上風力発電に注力しています。これは、東日本大震災をきっかけにドイツ連邦政府が、原発廃止を決定したことが後押しともなっています。洋上風力発電が広がりをみせるなか、嵐が到来した場合等、洋上風力発電機が稼働しているかどうかという監視体制も重要となってきます。航空クラスターの技術や経験が、再生エネルギークラスターに関わる業務に付随して任せることも可能となります。ハンブルクでは、クラスター同士が協力することで、ハンブルクの新しい政策モデルとして、EU委員会から一定の評価がなされています。一方で、風力発電では、洋上にて発電された電気が、地上に送電する施設であるグリットが不十分なことにあわせて、ドイツ南部へ送電する送電網が設置されていないため、余剰電力を抱えているという問題もあります。

最後に、航空クラスターにおいての行政の役割について、企業と研究機関とのパイプ役になり、関係機関が話しあえる共通の土俵を作ることが大切です。

 

■守屋議員の質問

①クラスター施策について、ハンブルク市のリーダーシップの役割は?

②ハンブルクでは、コクピットの生産に特化していると伺っているが、ハンブルクがクラスター施策を行うにあたり、問題を把握していたのか?

 

■ヒンツェ氏の回答

①クラスター施策が、ハンブルクが主導したのは事実であるが、あくまでも既存企業や研究機関に対して一緒に事業を進めていく意思があるかどうかを確認することです。本来の目的は、クラスターに関連する企業が話しあえる共通の土俵を作り出すことにあります。

②航空産業については、過去100年間は民間企業が進めており、当局としては中小企業がエアバス社への参画を促すという点においては、主導的な役割を果たしております。

 

 

 

 

「日時」:2016年5月18日(水)

「対応者」:キルシュニック氏(ハンブルク航空クラスター)

「打ち合わせ内容」

ハンブルク航空クラスターの目的は、環境・経済性・快適性の追求であり、産官学を通じて航空機分野の育成・強化と経済の発展です。特徴としては、①航空機の開発から組み立て、メンテナンスまで一貫して補っていること②マーケティングを含めて、他のクラスターとネット上でも協力していること③航空・宇宙に関する研究機関とも協力が密であることです。

ハンブルク航空クラスターが成功したきっかけは、2008年連邦政府が実施したコンクールに優勝し、80億ユーロ(約1兆円)の賞金を獲得し、投資できたことです。2015年は、クラスター国際化という分野で12億ユーロ(約1500億円)を獲得して、欧州34の航空クラスターとパートナーシップを締結したことにあります。

 

■安井議員の質問

①ハンブルクの航空クラスターを支えているのは人材であると考えるが、人材育成システムが機能するインキュべーションシステムはあるのか?

②ハンブルク航空クラスターでは、優れたアイデアを活かすことができるのか?

 

■キルシュニック氏の回答

①応用航空技術センターであるZALセンターが、インキュべーションの役割を担っており、6千の優秀な技術者が協力作業しており、アイデアが形になるかどうかの検証できるシステムがあります。

②エアバス社において、新規産業を育てるメカニズムを設けており、1年に1回アイデア募集を実施し、見事当選した企業には、半年間でアイデアを製品化する機会が与えられています。さらに、エアバス社とハンブルク市は、起業家に対して資金支援制度を設けています。

 

■長瀬議員の質問

①ハンブルクでは、異なる企業同士がどのように知的所有権や情報の秘密を保持しているのか?

②日本においては、大企業が同一系列の中小企業に低価格を押し付ける慣行があるが、ハンブルク航空クラスターでは、このような価格形成が見られるのか?

 

■キルシュニック氏の回答

①研究開発の段階によって、区別されています。試作段階の初期においては、企業や研究機関が共同で知的所有権を行使するが、最終の製品化した段階では、大企業が知的所有権を所有しています。

②最近において、エアバス社のサプライチェーンが変更になり、エアバス社が直接下請により製品供給を受けることがなくなり、その代わりに20から30社ほどの大手供給会社から選定して条件を決めることになっております。そのため、大企業が価格支配力を行使して、下請け企業の製品価格を低く抑えるという慣行はない状況です。

 

 

 

 

「見解」

ハンブルク航空クラスターは、上記の記述からも判断できるように一大産業となっております。神戸市において、成長産業と見込まれる航空宇宙分野への支援を実施しており、中小企業が共同受注のための活動する費用の一部補助や、コーディネーターを配置し品質保証体制の強化を図っております。日本の航空産業を牽引していく人材育成も重要となってきますので、産官学の連携により、仕事獲得のための土台を作る必要があります。その際に注意することが、行政はあくまでも裏方として民間企業をバックアップしていき、民間企業が活躍できる環境を整えていくことが大切です。

現実的な動きとしては、近畿経済産業局が2016年6月に関西の航空機産業を活性化するため「関西航空機産業プラットフォーム」を設立し、兵庫を拠点とする大手、中小の関連メーカーを中心に23社・団体が参画する。航空機需要が世界的に膨らむ中、産官学でサプライチェーン(部品供給網)の増強に取り組み、関西経済の発展に貢献することを期待しております。具体的な企業としては、川崎重工業(神戸市中央区)や新明和工業(宝塚市)など大手6社と、兵庫、大阪、京都に拠点を置く下請け企業でつくる6団体のほか、関係する3府県や政令市、経済団体などが参加しております。今後は、大学や研究機関にも参加していただく予定です。事務局は新産業創造研究機構(NIRO、神戸市中央区)に置き、企業間のマッチングや大手のニーズに対応した最適なサプライチェーンの構築に取り組む予定です。

神戸経済活性のために再度申し上げると、民間企業が主役として活躍できるように行政は脇役として、ソフト・ハード面においてバックアップしていくことが重要と考えますので、当該考えに基づき、議会や委員会、さらに当局との打ち合わせ等において発言していきたいと考えます。

 

「日時」:2016年5月19日(木)

「対応者」:クラッセン氏(ハンブルク港湾次長)

「打ち合わせ内容」

ハンブルク港の特徴としては、北ドイツに位置し、海に面した港ではなく河川港であるということです。そのため、スカンジナビア半島とは海路で結ばれているだけではなく、陸送網も発達しております。東欧への陸送のうち、3分の1が鉄道で行われており、港全体で390㎞の光ファイバー網が整備されています。また、ハンブルク港の特徴としては、コンテナ輸送に傾注しています。2015年度のハンブルク港における積み荷の状況は、ロシアに対する経済制裁・中国経済の減速・フィーダー産業の状況が激しかったという3つの理由により、振るわなかったとのことです。2015年度の総積み荷量880万TEUがハンブルク港で積み下ろし、32%が他の船に移され、550万TEUが後背地へと輸送された次第です。さらに、特徴としてはクルーズ産業があげられます。2015年において、第3のクルーズ船専用埠頭を稼働させており、ハンブルク国際空港と協力して乗客と荷物輸送を円滑に行っています。

ハンブルク港は、かつて3つの行政官庁によって運営されていましたが、11年前に効率性・柔軟性・マネジメントの観点より、ハンブルク港湾局に一本化し運営しております。港湾局の仕事は、港湾の開発・維持、鉄道等のインフラ整備、革新的な交通インフラ整備、下水の処理、港の土地の所有です。そして、国の仕事であるような港の水深維持、航海の安全、災害防止等も実施しています。例えば、港湾局は企業に対して、土地を貸し付け、クレーンや運搬車を貸し出してビジネスを営んでおり、財政基盤を安定化のために、土地の賃貸は長期契約を実施しております。また、ハンブルク港は、スマートポート構想に実行に移している段階です。具体的には、①港湾内の交通インフラをジャストインタイム(トヨタが導入したシステム)式で活用し、②国際的な海運航路を交通効率化システムの中に入れ、海運業の生き残りをかけています。主に、局のIT部門が実務を担っております。

■坊議員の質問

①ハンブルク港湾局は、2025年には船荷の総量を2530万ETUに倍増するとの目標を立てていると聞いているが、そのような目標を立てた根拠を伺いたい?

②港湾の合理化を実施すれば労働者が困ると思うが、当局はどのように解決したのか。先進国では、労働組合の了承なしでは雇用調整はうまくいかないという問題があります。例えば、ロサンジェルスにおけるロングビーチ港では、労働組合を会社化して人材派遣会社の経営等を行わせるようなやり方で労働問題を解決しています。

③交通インフラシステムであるジャストインタイム方式を世界に広める計画はあるのか。

 

■クラッセン氏の回答

①目標を立てたのは事実であるが、予想に過ぎない。倍増計画をたてた根拠は、2つの大規模バースの能力を2倍に引き上げたことです。そして、ロシアの経済やポーランドの経済が順調に推移するとの想定に拠るが、現段階では順調ではなく計画の見直しを図っています。

②雇用整理の問題は、港湾当局の問題ではなく、企業側にあるとの認識を持っていただきたい。ハンブルク港における合理化は、企業側で労働者の職場の再配置を行ったために大幅な解雇を行わずに済んだものと考えています。最近は、米国労働長官と港湾関係者がハンブルク港の視察を行い、意見交換をした際には、バランスが大事だという考え方です。

③現在のところは、そのような計画はあいです。スマートポートシステムは、改善する過程にあるからです。

 

「見解」

現状、神戸港において、基幹航路を中心に発展しつつある大型のコンテナ船に対応するため、既存コンテナ船用岸壁を延長する。こうした背景には、韓国や中国などアジア近隣諸港の発展に伴う港湾間競争の激化により、神戸港も時代に応じた環境整備をする必要があり、新しい時代に応じた港に変わる必要があります。すなわち、神戸開港以来、経験や技術として積み重ねてきた資産を有効活用して、国際貿易としての価値を高めていくことが必要と考えます。

交通インフラにおいては、ハンブルクのように港からの市街地へ向けての交通渋滞は、神戸では発生しておりませんが、今後において港の貨物量増大に応じて発生する可能性もあります。ただ、現在においても一部時間帯によっては生じている箇所があるものの、神戸港からの慢性的な交通渋滞は発生していないのが現状です。とするならば、環境貢献都市神戸としては、環境に配慮した物流交通インフラを整備していくことも重要と考えます。人による配送ではなく、オートメーション化した物流配送も実証実験していくことも選択肢の一つです。これからの神戸港の活性化を考える上で、他港では取り組むことができない付加価値をつけていき、神戸港単独ではなく、日本における港が連携して世界と競争していくことが大切です。

 

「日時」:2016年5月19日(木)

「対応者」:リスペンス氏(再生可能エネルギークラスター)

「打ち合わせ内容」

ハンブルクでの再生可能エネルギー開発は20年以上に渡っており、2010年に再生可能エネルギークラスターが設立されています。関連企業は、1566社に達し、約53%がハンブルク付近に立地しております。クラスターでの主力は、風力発電でありますが、太陽光発電とバイオマス発電を行っております。特に2008年から2012年までの再生可能エネルギー普及の発展が著しく、当該分野で雇用者数が56%増加し、全エネルギーに占める再生可能エネルギー比率は、8.3%になり、雇用者数は2万4千人です。再生可能エネルギー施策は、連邦政府が決定しており、2020年までに全電力の35%

を再生可能エネルギーで賄うという政策を打ち出しております。

ハンブルク再生可能エネルギークラスターの経緯について、2010年設立当初は、シーメンスのような大手企業から2人から3人規模の町工場まで様々な企業からなる54社からスタートし、現在187社が参加しております。そして、クラスターの目標は、再生可能エネルギー供給を従来から30%比率を上げることを目標としているが、既存の電力供給と再生可能エネルギーを如何に組み合わせるかが重要となります。他には、住宅の電力使用効率化と交通分野での電力使用効率化があります。

1990年代において、ドイツ電力使用の主要が水力や火力で、再生可能エネルギーは4%から5%に過ぎなかったが、現在は全電力使用量の3割を占めております。ドイツ連邦政府が掲げている35%(2020年までに達成)目標を前倒しで達成しております。

ハンブルクでの風力発電産業について、ドイツの3大メーカー(シーメンス。センビオン、ノルデッツクス)がハンブルクに拠点を置いており、ショルツ市長はハンブルクを世界の風力発電の首都とすることを表明しております。最近では、洋上風力発電パーク(2000メガワット規模)が完成しましたが、次の計画にも洋上風力発電パークを建設することになっています。そして、費用に関しては、2500億円から3500億円かかるため、多くの会社が集積しております。加えて、シーメンス社は風力発電タービン製造工場を建設しており、雇用者数は1000人ぐらいで総工費は約250億円です。太陽光発電については、プロジェクトの計画作りやファイナンス事業が主力であり、洋上風力発電事業と比較して規模は小さい。さらに、バイオマスについては、集積したゴミ等からバイオガスを製造して、自動車燃料として利用しております。

2014年において、ハンブルクでは世界最大の再生可能エネルギーの展示会を開催し、約1000社の企業が出展し、来場者数は3万3千人にのぼります。本年度も展示会を実施するが、規模は大きくなる予定です。

現在、ハンブルクで進めているプロジェクトとして、第1にハーフェンシティ開発があります。ここでは、環境政策としてCO2の削減計画を実行しております。持続可能な街づくりのために、再生可能エネルギーによる電力供給や熱供給を行います。さらに、将来に電気自動車の走行実験を実施し、水素ステーションの設置しております。第2にハンブルクにはアルミ・鉄・銅の3つの製錬所があり、当該施設で消費する電力量は人口25万都市のリューベック市の総需要電力の2倍に匹敵しており、ハンブルク全体の電力消費量の30%に達しています。ドイツ連邦政府は、約125億円の補助金により、洋上風力発電によりこのエネルギーを賄えるかを実験しており、洋上風力発電による余剰電力を如何に工業用施設にまわせるかが重要となります。

ハンブルクでのスマートポート構想について、再生可能エネルギーを利用した電気運搬車をコンテナターミナル内で短距離輸送の走行実験を行っております。さらに、ドイツの最大電力会社であるエーオンは、コンテナを使用して自ら水素を製造する実験を行っています。この実験が成功すれば燃料電池車や燃料電池のバスにも水素を提供する計画です。

 

 

 

 

■山本議員の質問

①私の情報では、ドイツ政府は既に2015年に再生可能エネルギーの全量買い取り制度(FIT制度)を廃止し、FIA制度へ移行したと聞いているが、今後の方向性を伺いたい?

②神戸市の政策に参考になるようなもので、ハンブルクが熱電供給をしている実施しているプロジェクトがあれば教えていただきたい?

③ハンブルクがバイオマス発電を行う上で、パートナーとして地域の中小企業を優先したのか又は無差別に企業を選択したのか伺いたい?

 

■リスペンス氏の回答

①ドイツ政府が再生可能エネルギーの全量買い取り制度(FIT制度)を廃止した事実はないが、1991年の制度創設以来多くの改善をしてきており、最近になり存続の是非を問う政治的な論争が起きています。

②バイオマス発電は、限定された地域でのみ利用されてきましたが、発生させた熱電を遠隔の地域に送ることが可能かの実証実験を行っております。

③クラスターは参加企業に対する支援を行う場なので、パートナー選定については承知していない。

 

「見解」

私個人が感じたことは、ドイツは国自体が環境問題に積極的に取り組んでいる印象を受けます。ドイツのメルケル首相は、日本における東日本大震災を受けて、震災から4ヶ月後にはいち早く原発依存から脱却する方針を出し、原子力発電所を2022年までに全廃することを法律化。

ハンブルクの都市においても、都市全体で再生可能エネルギー施策を行政や民間企業が一体となって取り組んでいる印象を受け、神戸市においても、行政と民間企業が一体となって取り組むべきと考えます。もちろん、民間企業が全面に出て活躍していただき、行政はバックアップする立場ですが。

 

 

 

「日時」:2016年5月19日(木)

「対応者」:シェーファー氏(ハンブルク清掃局)

「打ち合わせ内容」

ハンブルク清掃公社は、100%市所有の公的な清掃会社で、3.5億ユーロ(約500億円)の売上げがあり、2600人の従業員と700台の清掃車を有しております。清掃公社は、道路の清掃と家庭ゴミの収集を実施し、民間の清掃会社は工業廃棄物を収集しております。ごみの収集分別について、生ゴミ・紙・プラスティック・その他ゴミという4つの分けての分別収集を行っております。料金については、処理が簡単なゴミについては低料金又は無料で徴収しており、ゴミを減らすというインセンティブを与えるためです。

ハンブルク清掃公社の子会社でありシュティルブロック社は、家具の収集・販売を行っており、リサイクルを行うことに加えて、低価格で消費者に家具を販売することで社会的なサービスを提供している側面もあります。新たな取り組みとしては、公社運搬部門がトヨタの燃料電池車「MIRAI」を導入し、ゴミを減らすキャンぺーンを実施し、成果を得ています。

現在は、EUとの協働事業として、ゴミ処理について研究を行うとともに、国際協力としてタンザニアの前首都であるダスエスサラームでゴミ利用した堆肥生産プラント計画し、ニカラグアに対してはゴミ収集車を寄贈しています。

 

 

■植中議員の質問

①ドイツでは、リサイクルに力を入れていると伺っています。ビンのデポジットシステムについて、伺いたい?

②家庭ゴミの徴収価格に違いを設けていると言われましたが、ごみ収集価格と代金の徴収方法を伺いたい?

③ハンブルクでは、1999年よりゴミの埋め立てを廃止したとの説明を受けたが、大型の廃棄物や有毒なゴミ処理はどうしているのか?

 

■シェーファー氏の回答

①ドイツでは、ワインのビン等の一部を除きデポジットシステムの対象です。一方で、イギリスはデポジット対象としていない。コストの問題も含め、市民や企業への啓発に時間を要するからです。

②通常のゴミは安く、混ざったゴミについては収集代金を高くしています。例えば、建物の所有者に請求書を送付し、所有者はその額を賃借人に割り当て支払いをすることになっています。

③大型のゴミについては、金属を取り出し後に焼却してコンクリートに混ぜて道路舗装に使用しています。そして、ゴミとして残る部分もあり埋め立てを実施しているがゴミの量はわずかです。

 

「見解」

ハンブルク清掃局では、ゴミを焼却するだけでなく、混合ゴミから堆肥とバイオガスを製造しており、ゴミ処理マネジメントに注力していることがわかります。加えて、国際的な環境貢献もしております。

神戸市においても、環境局が多くの取組みを実施しており、ハンブルクと比較して遜色ないと考えますが、改善するところもあります。具体的には、市民の間で環境意識が高まるとともに、CO2削減に向けた取組みが必要で、神戸市は水素を新たなエネルギーとして重点施策としてあげております。そこで、ハード面での水素ステーションの整備を迅速に進めていく必要があるとともに、環境貢献都市神戸として積極的に情報発信していく必要があります。

 

 

「日時」:2016年5月19日(木)

「対応者」:カールステン氏(ハーフェンシティ情報センターガイド)

「打ち合わせ内容」

ハーフェンシティは、2001年より始まった欧州最大のウォータフロント開発であり、土地は港湾の一部で、埋め立て等で40パーセント面積拡大する。そして、開発のテーマは、①持続可能性②交通等に対する住民意識改革③将来計画の3点です。具体的には、交通において、これまで住民が使用していた自家用車から地下鉄の利用を推進するといった意識改革です

防潮対策については、ハンブルク港湾は北海から100㎞離れているが、冬場は嵐の影響を受けるため、ハーフェンシティ全体を8m盛り土しております。場所によっては、建物の1階部分まで浸水することがあるので、建物1階部分はレストランや幼稚園又は薬局に使用し、2階以上を居住空間としています。一部の場所は、防潮対策義務を民間に負わせおり、その場合の費用は民間と市が折半しております。

持続可能性について、エネルギー効率化とCO2削減に取り組んでおり、温暖化の進行を緩和させていくことを考えています。昨年に、ドイツ政府は温暖化防止策として、電気自動車の利用促進と充電網構築のため1250億円を支出することを決定したが、ハーフェンシティの施策においては大規模充電網の構築は想定していない。地下駐車場に小規模充電施設を作り、市民が公共空間として地下を利用していただくという考え方です。そして、車の台数を減らし、交通と環境の両立を図ろうとしております。実証してみて、そこから得られた知見により、将来のまち作りに活かす方法をハーフェンシティは採用しています。

ハーフェンシティの熱供給については、2003年にハーフェンシティ西側で一般競争入札を行い、CO2削減とコスト削減を図っています。東側では、バイオガスと紙・木材を利用したバイオマス発電が利用可能であったことから、現在では熱供給の92%を再生可能エネルギーで補っております。

 

■山本議員の質問

ハーフェンシティの目的が、環境にやさしい公共空間創造ということであると理解しましたが、環境と関連づけたホテル建設があるのかどうか?そして、ホテル建設に規制があるのかどうか伺いたい?

 

■カールステン氏の回答

ホテル建設プロジェクトとして、1か所のみ稼働しており、建設中のものが2か所あります。ハーフェンシティには、建設に際しての特別の規制はありませんが、公共交通機関における車利用促進があります。家族をコンセプトとしたホテル計画をたてており、車を使用せずに公共交通機関を利用して余暇を楽しめるように計画しております。クルージング客専用のホテル計画を進めております。加えて、身体障害者用のホテル計画があったが、当局ファイナンス部門が不必要との見解です。

 

■安達議員の質問

2年前にハンブルクを訪問した際には、日本人設計者による水上住居のモデルを見たが、現在の状況はどうですか?

 

■カールステン氏の回答

やっと設計図が完成したばかりで、まだ建設されていない状況です。

 

 

「見解」

神戸において、持続的に街の魅力を高める施策を打ち出しております。その一つとして、都心・ウォータフロントの回遊性を高め、港と都心が近い空間を利用しての魅力度を高める計画です。具体的には、メリケンパークでは、外資系企業のスターバックスを誘致して、敷地内に芝生を植えていく方針です。今回のハーフェンシティを視察して感じたことは、市民が憩える場所としての機能を有していることです。公園内での家族連れが遊んでいる姿、カフェでくつろいでいる又は買い物を楽しんでいる方々等が多くいて、歩行者の動線もさることながら、ハーフェンシティが一体となった回遊性が担保されている区域だと感じることができた次第です。また、緑も適度にあり、心地がいい空間でした。

私自身の考えとして、神戸市民の皆さんが気軽にくつろげる空間を多く設けることが必要と考えます。神戸市には、六甲山をはじめ山が多く、全体面積の約7割が緑で覆われております。大都市でありながら、緑が多い都市です。しかし、都心に目を向ければ、緑が少ない印象を受けます。そこで、これからの神戸の都市は、緑豊かな空間にしていくことが必要と考えます。さらに、市民の皆さんが、歩いて港を楽しめる空間づくりをソフト・ハード面の両方で充実させていかなければなりません。

今の時代は、高度成長期の日本とは違い、生きにくい時代です。だからこそ、日常から解放された空間を神戸の港でつくる必要があると考えます。具体的には、間伐材のベンチや花壇を設け、自然豊かな空間を演出し、夜には多様な色合いの光の空間を演出してみることが必要と考えます。

 

 

 

 

「日時」:2016年5月20日(金)

「対応者」:ハーベック氏(医療クラスター)

「打ち合わせ内容」

2016年5月上旬に、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州の首相が兵庫県を表敬訪問した際に、神戸先端医療財団と意見交換したばかりです。医療クラスターの中核が、ライフサイエンスノルドで、ハンブルクとシュレスヴィヒ・ホルシュタインが共同事業とし提携しております。2010年には、行政や民間企業が一体となった医療クラスターとして組織編制され、企業総数は220社にのぼります。マネジメントには、10人の取締役で構成され、取締役会の下には6つの作業部会が存在しており、生産技術、医療機器、IT活用等のグループに分かれております。

医療クラスターには、3つの機能があります。第1は、イノベーションを伴うプロジェクトが起こった場合には、メンバー間で情報共有ができ、資金提供や共同参画者を募ることができる環境を提供できます。第2は、製品化されれば、国際的な展開を支援できることです。具体的には、ドイツではメディカという国際的な医療産業見本市があり、展示会出展を支援できる体制があることです。第3は、人材提供と人材育成です。

■長瀬議員の質問

①ライフサイエンスノルドは、バイオ研究の一環として、海洋バイオ研究を実施していると伺っており、目的と成果を伺いたい。

②どの海域で調査を行っているのか。日本では、海洋探査技術(金属)では、優れた技術を持っているが協力の可能性はあるのか。

③ハーベック氏は、神戸の先端医療センター担当者と打ち合わせを実施したと伺ったが、神戸ではスパーコンピューターを使用しての創薬研究を実施しており、次世代エクサマケールの導入も決定しています。そこで、共同研究の可能性はあるのか伺いたい。

 

■ハーベック氏の回答

①海洋バイオ研究により、医療品や化粧品の有用な物質調査と食料・栄養となる有用な物質調査を行っております。この調査により、中小企業10社程が設立され、ガンの研究調査を行っております。

②ドイツの海域で調査を実施しており、国際的な協力も実施しております。キール市は、鉱物を探査するギボマという企業が存在し、フラウンホファ国立研究所も同様の探査を実施しております。日本サイドで、協力したいプロジェクトがあれば申し出でいただければ先方に伝えることは可能です。

③神戸でスパコンは2度視察したが、素晴らしい施設であり、神戸サイドからはドイツの企業や研究者も使用可能と伺っております。ドイツのライフサイエンスノルド参加企業の意向が重要なので、伝達したいと考えております。

 

ハーベック氏より、神戸医療産業都市と異なり、北ドイツにおける医療クラスターは、州にまたがり展開しており、ITによるネットワーク構築を展開しております。最近の成果としては、バイオテクノロジーによる花粉症研究や磁石粉末を皮膚に塗ることで体内検査を行える技術に関する成果が出ています。

日本とドイツは、到来している高齢化社会に対して、医療産業が社会に果たす役割は大きく、高齢者の複雑骨折などに対応するため、整形外科の重要性が増しており、神戸でのIPS細胞研究による治療を推進する必要があります。また、ハンブルクは港や空港を抱えており、感染症に対する対策も重要となってきます。

 

■安井議員の質問

①神戸の医療産業クラスターは、議会の主導で出来たものであるが、3800億円を投資したにもかかわらず、神戸経済に十分貢献できていない。神戸の医療産業クラスターで一番欠けているのは、何か?

②神戸医療産業クラスターには、かつて笹井副センター長がおり、マネジメント能力の高いコーディネーターであったが、彼の死により代わるリーダーがいなく、早急に見つける必要がある。これまでは、高級官僚か著名な学者を想定してきたが、ハーベック氏の話しを伺い、世界的な視野を持つ人材をリーダーにすべきと考えるがいかがか?

 

■ハーベック氏の回答

①クラスターが経済貢献できるのは、イノベーションを通じての投資を行うからです。神戸において、医療産業が集積し、理研を誘致して中央市民病院等と連携しているのは素晴らしく、イノベーションを通じて投資しているものと思っていた。投資については、企業が行うもので、企業家の意見や存在が重要であると考えます。

②カリスマ型のリーダーも重要であるが、ハンブルク医療クラスターからの経験から言えば、クラスターの重要事項を決めるのは取締役会であります。役員は、医療クラスターに参加している企業から選ばれるため、医療産業の情報をいち早くキャッチでき、マネジメントにも有利に作用します。

 

 

■平野議員の質問

①神戸産業医療都市は、アメリカのロチェスター市に所在するメイヨー・クリ二ックの総合病院をモデルとしています。ライフサイエンスノルドは、企業や大学、病院がグループ化しているのか。

②神戸の医療クラスターは、企業力が弱いのが欠点であるが、神戸医療クラスターの企業力をどのように見ているのか。

 

■ハーベック氏の回答

①その通りです。北ドイツでは、10年前までは大学病院や研究所がバラバラで独自研究をしていたが、グループを連結して、研究開発力を高めようとするのが、クラスター創設の目的でした。神戸の先端医療振興財団のように、指示に基づいて研究を進めるといったやり方ではない。

②神戸医療クラスターの企業全体について、評価できないが、私自身が接触した企業の中には、共同研究や共同研究のパートナーになりうる企業があったのは事実です。

 

 

「日時」:2016年5月20日(金)

「対応者」:ディール氏(シスメックス・イノスティック社)との打ち合わせ

「打ち合わせ内容」

シスメックス社は、検体検査より会社出発しており、約6割がこの分野で占めております。この分野での世界トップシェアで、会社全体の8割以上が海外向けとなっております。特に、ガン治療分野で研究しており、特定のガン治療薬が効く人と効かない人がいるので、製薬会社と共同で研究するライフサイエンス分野に進出しております。

研究を進めている分野について、血液中の遺伝子を分析することで、ガンの存在とガンの治療薬の効果を確かめるという研究・開発を実施しております。研究の中身については、ガンかどうかを判断できるバイオマーカーの開発をし、ガン専門医が必要とするニーズを見極め、血液を調べただけでガンの有無とガンの居場所を診断できるようにすることが最終的な目標です。

 

■諌山議員の質問

血液中のガン遺伝子は微量とのことですが、具体的には1ミリリットル当たりはどれくらいか。

 

■ディール氏の回答

ガンの場合は、ウィルス検査と同様に1ミリリットル当たりの遺伝子数を計測するが、1個という場合もあるし1万個という場合もあります。

 

■安井議員の質問

貴社の研究成果を使えば、どれくらいの確率でガン治療薬を見つけることができるのか。例えば、胃ガンに罹患した場合、貴社に問い合わせる体制が整っているのか。

 

■ディール氏の回答

ガンの場合、治療できる患者を発掘して、正しいガン治療薬を使えば、治療の可能性は高まると考える。胃ガンではないが、大腸ガンについて日本国内でガンテストを行うセンターを開設し、今後他のガンにも展開していきたい。

 

■長瀬議員の質問

貴社の場合、ライフサイエンスノルドの具体的な寄与について伺いたい。

 

■ディール氏の回答

2009年に会社を立ち上げたが、ライフサイエンスノルドにおいて関連会社との会議を調整していただき、セミナーを開催し、ビジネス展開についてのノウハウを共有できた。

 

■植中議員の質問

将来的には、血液検査によって、身体のどこの箇所にガンがあるのか発見できるのか。

 

■ディール氏の回答

現在開発中のシークエンシーという技術が完成すれば、血液検査のみでガン種類や箇所を発見可能。

「日時」:2016年5月20日(金)

「対応者」:グロス氏(エアバス・ドイツ本社事務総長)

「打ち合わせ内容」

5月の当社への日本からの訪問は3件目であり、5月末には別の訪問のアポが入っています。日本の方々のエアバス社に対するご関心に感謝致します。エアバス社に関連する仕事に従事する人数は、5万8千人で、売り上げは15年ごとに倍増しております。エアバス社の特徴としては、国際的な展開をしているので、多様な人材が働いており、男女問わず働いております。そして、航空機の最終組み立て拠点は欧州に2ヶ所と米国、中国にあり合計で4ヶ所あります。

エアバス社の航空機生産は、航空機の形式を4つに分けて、それぞれの形式ごとに機種を配置しております。この方式により、形式ごとに同じタイプのコクピットやキャビンを使うことができ、生産期間の短縮が図ることができます。

現在、エアバス社の大きな目標は、騒音の軽減です。具体的には、A320タイプにネオという名前の機種を開発し、騒音の軽減だけでなく、燃費改善と排出ガス15%削減する。そして、航空機市場において、機種の大型化傾向があり、2035年までに機種需要が3206機と予測しております。15%に上る燃費改善と排出ガス削減により、航空機全体シェアの50%獲得が可能と考えています。

 

 

 

 

 

■安達議員の質問

大型機の分野では、エアバス社の方がボーイング社より優位性があると説明されたが、根拠を伺いたい?

 

■グロス氏の回答

航空機の型式を4種類にしており、形式ごとに機種を配備するファミリー戦略を採用しており、当該システムにより型式毎に同じコクピットやキャビンを使用できることです。その結果、飛行許可がおりるまでの納期短縮が可能で、クルーの訓練期間も短縮できます。このことが、他社より優位性を担保できる証となります。

 

■守屋議員の質問

今後、日本の中小企業がエアバス社の研究開発に参画できる余地はあるか伺いたい。

 

■グロス氏の回答

日本の中小企業が直接エアバス社の研究開発に参画することはできない。なぜなら、4・5年前に調達制度をピラミッド型に制度変更したからです。エアバス社は、大手企業と直接契約しており、エアバス社との取引を希望する場合は、日本のジャムコ等の取引グループに入る方法しかありません。

 

■植中議員の質問

エアバス社というと「空のバス」というイメージを想像させ、航空機メーカーとしては絶妙な名前と考えるが、その名前の由来について教えていただきたい。

 

■グロス氏の回答

1950年から60年代において、ドイツとフランス両政府が民間航空機を製造しようと協議した際に、コンセプトをバスに例え、乗客が空港に降りるのと乗り込むことをイメージしております。また、300人乗りの航空機をA300と命名したことにより、「空のバス」を意味するエアバスと名付けた。

 

■坊議員の質問

三菱が開発しているMRJについて、どのように考えているか。うまく行くと考えるか。

 

■グロス氏の回答

MRJは、160人乗りまでであり、エアバス社は200人以上が乗れる航空機を製造しており、直接競合することはない。航空機の場合、一つの機種を何十年と渡り製造し、供給することが求められます。MRJにとって、三菱が何年製造し、供給することができるかが試金石となるであろう。

 

■安井議員の質問

どこの国からの需要が多いか。

 

■グロス氏の回答

アジアが全体の50%を占めており、次はアメリカとヨーロッパで各20パーセントを占めています。

「見解」

日本において、三菱重工業の企業グループが小型ジェット旅客機であるMRJを生産・販売する計画です。経済産業省が事業者を公募し、これに応じた三菱重工が2008年から開発を本格化した小型ジェット機です。そして、2015年に53年ぶりとなる国産旅客機・MRJ(三菱リージョナルジェット)が初飛行に成功した。日本が敗戦によるGHQの航空禁止令から70年、戦後初の国産旅客機・YS-11が初飛行してから53年越しの悲願の初飛行となり、本当に未来に希望が持てる話題です。

神戸において、歴的な背景を考察すると、鉄鋼・造船などの重厚長産業の拠点として発展してきた地域です。また、これまで航空機の構成部品を製造してきた神戸の企業は、実績があります。具体的には、航空機の機体・胴体、油圧システム、飛行電源・降着システム等の製造です。そのような地域特性を活かして、神戸航空機クラスターのプロジェクトが2014年に立ち上がり、行政も支援しております。将来的には、外資系航空機メーカーはもちろん、日本の航空機メーカーの部品受注に向けて、事業の構築化に向けて民間レベルで取り組んでいます。

今後、神戸市の行政サイドとしても、民間企業が能力を発揮できるように、土台作りの支援を行う必要があり、行政と議会が一体となって、前向きに取り組む必要があると考えます。