活動報告

平成28年8月31日~9月2日 経済港湾委員会行政視察

活動報告2016.09.21

経済港湾委員会の行政視察が行われました。

【視察日程】 平成28年8月31日~9月2日

【視察者】 山本のりかず

【視察地】広島県、香川県、高知県

 

冒頭                         

経済港湾委員会にて、2016年8月31日(水)から9月2日(金)にかけて、広島県・香川県・高知県での行政視察を実施しました。当該地域での課題や課題克服対策を通じて、神戸での施策展開につなげていきたいと考えております。以下、個別具体的に記載致します。

第1章

■広島港における大型クルーズ客船寄港への取組みについて

・課題

日本において、大型客船クルーズの誘致合戦が繰り広げられており、港間での誘致競争に競り勝つには、他港との差別化は図る必要があります。アジアからの乗客を如何にして広島の買い物消費や観光に結び付けていくことができるかが課題でもあります。

 

・課題克服対策

①  海外クルーズ船社や国内販売総代理店等に対して、県内の多様な観光資源を混ぜた新しいオプショナルツアーを展開していき、広島港の魅力を発信していく。

②  平成27年度から大型客船クルーズ誘致を可能とした五日市埠頭において、円滑な受け入れを実施、セールス活動を積極的に行う。

③  欧米系の富裕層向けの文化・自然体験型のスペシャルプランをアピールする。加えて、広島港発着クルーズの増加に向けたセールスを展開する。

④  平成26年度に設立した「広島港客船誘致・おもてなし委員会」を中心に、官民一体となって、「おもてなし」を継続実施し、リピーター客を増やす。

 

 

・山本のりかず議員

質問:日本の和食が海外から注目されているが、広島県ではどのような取り組みがされていますか?そして、客船クルーズ入港の際は、消防の音楽隊が演奏されていますが他は?オプショナルツアーについては、新たな考えは?

・担当者

回答:宮島産のアナゴ・かきを船内販売することに加えて、新しくできた上屋での広島名物のお好み焼きやかきを販売し、結構売れているとの評判です。客船クルーズの入港に際しては、県警の音楽隊や地元の太鼓や演奏家も招いたりしているが、予算がなく苦慮しております。そして、オプショナルツアーについては、富裕層向けに水上飛行機(10人乗り)で遊覧することを計画しており、1人当たり2万4千円かかることになります。

補足:なお、質問・回答のやり取りは、簡潔に記載しておりますのでご了承下さい。

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・神戸での施策展開について

※広島港における大型クルーズ客船寄港への取組み踏まえて

アジア(台湾・中国)からの乗客のツアーを分析すると、8割以上が平和公園・原爆ドームをツアーに参加し、時間的な余裕があれば、宮島・厳島神社をまわっています。一方で、広島県内陸部までに客船クルーズの乗客が訪れておらず、当該地域の要請にも応えることができていないのが現状です。主に、時間的な制約が考えられ、広島港の課題として認識しております。さらに、以前、広島港に入港した客船の乗客が地元を通りすぎて他地域に行ったことがあり、地元では悪いニュースとして取り上げられたとのことです。このことは、神戸でも以前に同様のことがありました。このことは、情報が直前でないと入ってこないとのことでしたので、早く情報を入手することも課題として挙げられます。広島県での取り組みを踏まえ、神戸でも採用できる施策は、あると実感した次第です。客船クルーズの乗客リピーターを増やすためにも、神戸の食・観光地・体験ツアー等のソフト面を充実させていくことが必要です。また、大型バスでの観光が可能となる駐車場確保等のハード面における整備も必要となります。今後、当局との打ち合わせや委員会等で発言していきたいと考えます。

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■高松丸亀町商店街の再開発取組みについて

・課題

丸亀町商店街の歴史を振り返ると、バブル経済による地価高騰により商店街付近に人々が住まなくなり、郊外に住むようになりました。そして、瀬戸大橋の開通により、大手資本による大型ショッピングセンターが乱立し、人々はそこで買い物を消費することになり、商店街は衰退していった。そこで地元出身者の方々が危機意識を持ち、再開発事業に乗り出し、2006年にはA街区(壱番街)が整備され、順次B街区(弐番街)・C街区(参番街)を整備していった。下記に実際に実施した課題克服対策を列挙致します。

 

・課題克服対策

①    土地権利者への意識を変えることに成功。

これまでは、消費者は大型郊外店に買い物をした結果、商店街が疲弊していったと考えていたが、商店街が消費者の支持が得られるように頑張らなければならないという意識に変化した。消費者が欲しいと思える商品を並べるためには、思い切った業種転換・商品開発・廃業等をしなければならない。

②  商店街の土地問題の解決

定期借地権を利用した土地の所有権と利用権の分離を実施し、まちづくり会社が商業床を一体的にマネージメントし、地権者がリスクを負う変動地代の仕組みを作った。

③  街全体のイメージ

前提として、発想の転換をし、失敗例から学ぶとともに前例にこだわらない民間主導により、居住者を取り戻すアイデアを出した。具体的には、商店街を区割りして、高級ブティック街・アートカルチャー街・ファッション街・ファミリー街等の特性を持たすことにした。

④  ライフラインの再整備

車に依存せず歩いて事足りる街づくりとして、住宅整備・介護施設・診療所・子育て支援施設・市民広場・町営まちバス・温浴施設の充実等に取り組む。

 

・神戸での施策展開について

※高松丸亀町商店街の再開発取組みを踏まえて

高松丸亀商店街は、江戸時代から続く400年以上の歴史を持ち、自主独立した商人が多い地域です。そして、商店街の再開発が軌道に乗ることができたのは、地域コミュニティが現存しており、生まれ育った地元に対する熱意と新たな触媒が成功の必須条件であります。さらに、お役所主導ではなく、前例主義にこだわらない民間主導による取組みが必要で、そうすることで新陳代謝を促すことが可能となります。

丸亀町商店街の人たちの認識として、役所が主導した開発は失敗する。理由としては、役所には経営する機能がないから。そして、コンサルタント・開発業者に丸投げすることは、不毛である。なぜなら、彼らはキーテナント誘致で「土下座外交」をして、特別の条件で誘致し、オープンまでこぎつけると地域からいなくなる。さらに、キーテナントも3年から5年商売を続け、収益があげることができなければ、ある日突然撤収する。すると、空き室ができ、新たな土下座外交が行われ、公費が投入され、負のスパイラルに陥る。

神戸の商店街活性化による再開発事業を実施する場合は、商店街の方々が主役として、行政主導ではなく、民間企業主導の再開発が重要となります。加えて、開発が成功すれはいなくなる開発業者ではなく、地元に継続して携わっていくことができる民間企業が望ましいと考えます。

 

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第2章

■香川せとうちアート観光圏について

・課題

香川県において、人口は平成11年の103万人をピークに減少に転じ、平成26年は98万人と平成12年以降15年連続の減少となっております。人口減少による地域経済の縮小を取り戻さなければならず、香川県を訪れる人数、つまり交流人口の増大により地域経済を活性化させようとするものです。観光振興により、少子化対策や人口流入の促進を図ることになり、如何にして観光振興を進めていくかが課題です。具体的には、観光スタイルの転換により、名所・旧跡を回る「スポット型観光」から「地域の人々と来訪者が触れ合うことのできる観光」への移行を図る必要があります。すなわち、来訪者が地域に留まり、地域における人や文化との体験を中心にしながら、地域住民との交流を推進することです。

 

・課題克服対策

①    香川せとうちアートのブランド化の推進

瀬戸内国際芸術祭開催により、香川せとうちアートのブランド化を進め、滞在交流型観光の推進に取り組む。

②    観光客受入態勢の整備

「観光香川おもてなし運動」を展開し、観光情報の提供や無料Wi-Fiスポットの拡大に取り組む。

③    戦略的な観光プロモーション

SNSや口コミなどによる情報発信力が強い女性層をターゲットとした情報発信を行い、多様な媒体を活用する取り組みを行う。

④    外国人誘客対策の充実・強化

空路を活かしたソウル線や上海線、台北線等の航空ネットワークを最大限活用し、誘客拡大に取り組む。そして、多言語表記や観光案内所での外国人対応の充実を図る。

⑤    MICEの活用

国際会議や学会等のコンベンションや企業研修・会議、展示会・見本市等の集客が多く見込まれるMICEの活用を図る。

 

 

・山本のりかず議員

質問:アート観光圏のソフト面として、芸術家との交流は企画しているのですか?

・担当者

回答:観光部局としては、現在企画はしておりませんが、県の置県百年記念香川県文化芸術振興財団が芸術関係の事業を実施しており、芸術家との交流イベントを行っております。また、瀬戸内国際芸術祭において、作品制作者との交流を行っております。

 

・山本のりかず議員

質問:情報発信として、例えばうどん県副知事にタレントを起用していたりするが、その取組み状況を伺う。

・担当者

回答:平成10年の電通総研都道府県地域好印象度調査において、全都道府県中47位という衝撃的な結果を受け、認知度向上に向け、施策を展開し、平成22年の日経リサーチ地域ブランド力調査において24位まで上昇しました。しかし、さらなる情報発信強化をしていくために、香川出身のタレントである要潤氏及び木内昌子氏をうどん県副知事に任命し、「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトが平成23年に始動。その後のキャッチコピーは、「カッコつけます。うどん県」です。

 

・山本のりかず議員

質問:宇多津町の「古街(こまち)」に外国の方が宿泊していると聞いたが、その状況は?

・担当者

回答:宇多津町に確認したところ、平成28年4月~7月までの宿泊状況は、275名で、外国人は18名とのことです。割合でいうと1割に満たない状況です。

 

補足:なお、質問・回答のやり取りは、簡潔に記載しておりますのでご了承下さい。

 

 

・神戸での施策展開について

※香川せとうちアート観光圏の取組みを踏まえて

香川県全域の8市9町が一丸となって、当該地域をアート観光圏としてアピールしており、様々なアート地区を設けることで、滞在型観光を可能としております。一方で、神戸において、2年に1回開催される総合芸術祭である神戸ビエンナーレが、昨年で終了することが決定され、芸術文化施策に対する見直しが図られています。他都市と同じ取り組みを神戸で実施しても、神戸で開催する意義が見いだせないと考えます。神戸で芸術に関する取組みを実施するのであれば、神戸でしか実現できない芸術祭を実施していく必要があり、神戸の資源を活かした芸術祭を開催することが必要です。

 六甲山では、六甲ミーツ・アート芸術散歩が実施されており、民間企業主導のもとで開催されております。

このような芸術の祭典をきっかけに、県外の若者が神戸に興味を持っていただき、神戸に定住していただく。そして、アートを六甲山における休眠施設がリノベーションされ、着地型観光の推進し、六甲・摩耶の活性化につなげていくことが必要と考えます。

 

着地型観光:地元ならではのプログラムを企画し、参加者が現地集合、現地解散する新しい観光の形態。

主に都会にある出発地の旅行会社が企画して参加者を目的地へ連れて行く従来の「発地型観光」と比べて、地域の振興につながると期待されている。

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第3章

■高知県における産業振興計画について

・課題

日本において、少子高齢化が叫ばれているが、高知県では平成2年から人口が自然減の傾向となり、若者が県外に流出して、中山間地域の衰退を招き、経済規模が縮小してきました。その結果、人口減少の負のスパイラル連鎖を引き起こしていました。

 

・課題克服対策

①    地産外商により、安定した雇用創出

地産と外商を組み合わせることで、拡大再生産につなげる。

②    新しい人の流れを創出

県内学生の県内就職の促進と県外からの移住を促進する。

③    若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえ、女性の活躍する場を拡大

ライフステージの各段階に応じた切れ目ない少子化対策を推進し、女性が働き続けることができる環境を作る。

④    コンパクトな中心部と小さな拠点との連携

中山間地域での小さな拠点を整備促進し、ネットワークを形成する。

 

上記の4つの基本目標を軸に、若者の定着・増加と出生率の向上を目指し、好循環スパイラルを生み出す。

そして、最終的に目指す将来像は、地産外商が進み、地域で若者が誇りと志を持って働ける高知県にすることです。さらに、高知県をアピールするフレーズとして、「高知家」を使用。高知家とは、あっという間に仲良くなり、気さくで情が深く、家族のような親しい関係が築け、ひとつの大家族やき。このようなプロモーションを展開しております。

 

 

・神戸での施策展開について

※高知県の産業振興計画を踏まえて

①    都市型バイオマス発電活用において

神戸市では、環境局の重点施策の一環として、都市型の木質バイオマス発電が計画されており、里山での間伐材供給や建築材の廃材等をエネルギー源として活用する予定です。高知県では、林業が盛んな地域で、原木生産やCLT(直交集成板)の推進、木質バイオマス発電や木質バオマスボイラー事業、流通システムの構築等が進められています。そして、林業学校に専攻課程を設け、森林組合等への雇用を促し、原木生産に伴う担い手確保に努めています。また、小規模林業の推進により、活動を支援しております。一方で、神戸において、間伐材の流通網の整備や間伐材の確保等が課題として挙げられます。高知県の取組みを参考に、神戸独自の都市型木質バイオマス発電に応用できる仕組みがあるので、事業推進していきたいと考えます。

②    地域で暮らし稼げる農業について

神戸市では、里山地域の定住促進により地域の活力をあげ、農業に従事する方々の所得があがる取り組みを実施しております。高知県において、次世代こうち新施設園芸システムを確立し、環境に配慮したハウスの整備を進めております。専門的な話しになりますが、IPM技術も採用した環境保全型農業です。IPMとは、病害虫や雑草防除において、化学合成農薬に頼るのではなく、天敵や防虫ネット、防蛾灯等の防除技術を組み合わせて害虫の発生を抑制する考え方です。安全安心な農作物と環境負荷軽減が両立した持続可能な農業にもつながります。神戸においても、環境貢献都市を宣言している以上、農業の分野でも環境に配慮した農業経営を進めていくべきと考えます。

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