活動報告

大都市行財政制度に関する特別委員会行政調査報告(外海議員)

活動報告2017.02.06

■日程
平成29年1月30日〜1月31日
■調査項目
⑴「ひろしま」ブランドの価値向上に向けた取組みについて(広島県)
⑵九州観光戦略における官民一体の取組みについて(九州観光推進機構)
⑶グローバル創業・雇用創出特区について(福岡市)
⑷U/Iターン促進事業について(福岡市)
■所見
⑴「ひろしま」ブランドの価値向上に向けた取組みについて
平成24年にひろしまブランド推進課を新設し、観光キャンペーン「おしい!広島県」の展開、東京でのアンテナショップ「TAU」開設、広島県産応援登録制度の創設などの取組みを進め、来訪者増加、地域経済の活性化を図っている広島県。
「ひろしま」と聞くと何を思い浮かべるか?「原爆ドーム」「厳島神社」「カープ」「もみじ饅頭」など資産の単語が連想の中心にある。福岡市のように「住みやすい」「おいしい」などの形容詞が連想の中心で、そこから暮らしや県民性に関する言葉が広がり「九州の中心」や「アジアの玄関」など地域の位置づけに関する言葉の広がりもあり、価値をもったストーリー性が感じられるように、「選ばれる地域」となるために、地域イメージの向上のための諸施策を進めている。「神戸」は地域ブランドとして一定の認知度を得ているものの、資産としては「神戸牛」のイメージが強すぎるため、神戸が保有する他の資産についても、積極的なアピールを行う必要がある。

⑵九州観光戦略における官民一体の取組みについて
「九州はひとつ」の理念のもと、総合特別区域法に基づき、九州7県、福岡市及び九州観光推進機構が平成24年に共同申請し、平成25年に地域活性化総合特区の一つとして指定された「九州アジア観光アイランド総合特区」。アジアからの観光客誘致の促進に向けたガイドの育成支援、クルーズアイランド九州の推進に向け博多港・長崎港・八代港・別府港・鹿児島港などクルーズ客船受入環境の整備、ニューリズムの拡大などを九州全域で展開。九州の空港に離発着する14社が連携して九州をPR、県境を超えたコンテンツづくりの九州温泉道八十八湯めぐりなど、官民一体の取組みによる効果をあげている。九州観光における今後の目標として、観光消費額の増加を掲げており、欧米豪からの観光客誘致に注力するとともに、ナイトメニューの開発により通過型から宿泊滞在への転換を目指す。神戸観光もまさしく通過型であるため、夜間イベントの商品化やナイトメニューの開発などに注力し、神戸観光の集客力アップに取組んで行かねばならない。

⑶グローバル創業・雇用創出特区について
平成26年国家戦略特区「福岡市グローバル創業・雇用創出特区」の指定を受けた福岡市。若者(15〜29歳)の人口比率が19.5%と政令市中で1位と近年人口が増え続けている都市である。コンパクトで住みやすい・増え続ける人口と豊富な人材・良好なアクセス環境などの強みを生かし、福岡市をスタートアップ(創業)の拠点にする取組みを特区で加速している。平成24年度6.2%であった開業率を平成30年度には約2倍の13%を目標に、特区で認められた規制・制度改革や国の施策に、市の施策を組み合わせ、政策パッケージとして事業推進。なかでも規制緩和によって民間投資を呼び込む「天神ビックバン」は、2015年度から10年間で民間ビル30棟を建替え、建設投資効果2,900億円、建替え完了後の毎年の経済活動波及効果を8,500億円と試算しているプロジェクトである。天神は空港に近く、航空機の安全な離着陸のために航空法によって、建てられる建物の高さに制限がかかっていたが、「航空法の高さ制限の特例承認」の獲得を契機に、まちづくりを促す福岡市の独自施策「容積率の緩和」などを組み合わせて、延床面積を現在の1.7倍に拡大する。人口で福岡市に抜かれた神戸市ではあるが、三宮再開発などを契機に「魅力あるまちづくり」を実現して行かねばならない。
⑷U/Iターン促進事業について
福岡市の重要分野であるクリエイティブ産業の振興・集積を目的とし、主に首都圏で活躍しているIT・デジタルコンテンツ等の開発経験者(クリエイティブ人材)の市内企業へのU/Iターン転職を応援するためのプロジェクト「福岡クリエイティブキャンプ」を実施。企業と転職希望者のマッチング等の転職サポートだけではなく、就職後に一定条件を満たしたあとに応援金を支給することや、懇親会の実施などを通じ移住後の生活面についてもサポートを行っている。平成27年度の実績として、31名が市内クリエイティブ企業に転職移住したが、転職後環境に馴染めず戻ってしまう例もあり、より一層のサポート体制が必要だと感じる。このほかにも、国内外で活躍するクリエイティブ人材による東京等でのセミナー開催を実施することなどにより、東京圏からの人口流入拡大を図る取組は東京一極集中を是正する意味で見習うところでもある。