活動報告

外郭団体に関する特別委員会の視察報告(山本議員)

活動報告2017.02.10

外郭団体に関する特別委員会の視察報告について

神戸市会議員 山本のりかず

冒頭                         

外郭団体に関する特別委員会にて、2017年1月30日(月)から1月31日(火)にかけて、金沢市、石川県での行政視察を実施。当該地域での課題や課題克服対策を通じて、神戸市での施策展開につなげていきたいと考えております。以下、個別具体的に記載致します。

第1章

■公益財団法人金沢芸術創造財団の取組みについて

・課題

金沢市の芸術・文化振興に寄与することを目的にしております。北陸新幹線は、東京から長野を経由して、金沢まで開業しています。今後、金沢から西である敦賀までの間は、平成34年度末の開業を目指しており、さらなる集客を目指すことが課題となります。

 

・公益財団法人金沢芸術創造財団の取組みについて

金沢市では、芸術文化施設が多く存在し、金沢歌舞伎座、金沢市文化ホール、金沢市アートホール、金沢市民芸術村、金沢卯辰山工芸工房、金沢湯涌創作の森、金沢能楽美術館、金沢21世紀美術館をあわせて8施設が稼働しています。特に注目すべき施設としては、金沢市民芸術村があります。ここでの工房は、24時間使用可能で、金沢市民はもちろんのこと市内外の方も利用でき、利用比率は市内78%、市外22%の割合となります。工房別では、ドラマ工房が30%、アート工房が32%の利用率です。ドラマ工房は、未来に挑戦する演劇の新しい関係と演劇を作り出す空間で、アート工房は、既成の枠にとらわれずにのびのびと現代を表現したい場所を作り出す空間です。深夜利用者は、全体の利用割合から比較すると低いが、日中仕事をしている会社員や学生等に開放し、施設を利用していただくための工夫をしていることが伺えます。

加えて、公立文化施設の中で初めて、市民ディレクター制度を導入し、民間人を登用して市民芸術村の自主運営の円滑化を図っております。合計7人のディレクターがおり、総合ディレクターは1名、ドラマ工房ディレクターは2名、ミュージック工房ディレクターは2名、アート工房ディレクターは2名となります。

次に、金沢21世紀美術館は、まちと共に成長し、「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」に資することを目的とする。加えて、①世界のいまとともに生きる美術館②まちに活き、市民とつくる、参画交流型の美術館③地域の伝統を未来につなげ、世界に開く美術館④子どもたちとともに、成長する美術館を4つのミッションとしており、当該方針に沿った施設運営を実施しております。

・神戸市の芸術文化への施策展開について

金沢市で取組みを参考にすれば、従来の施設開放だけでなく、市民が利用しやすい環境整備や魅力ある施設運営に徹するためには民間人のアイデアや工夫を取り入れるべきと考えます。また、新たな挑戦を施設運営でも実施すべき時期と考えます。

 

第2章

■金沢港におけるクルーズ船誘致の取組みについて

・課題

ハード整備において、金沢港の再整備は急務であり、貨物用とクルーズ船乗客降り場が併用となっており、利便性や安全性を確保する点においても課題であります。具体的には、無量寺埠頭

と戸水埠頭の整備です。なお、県や金沢市などはクルーズ船の誘致に向けて国に金沢港の再整備を求めています。

・クルーズ船誘致の取組みについて

金沢港は、金沢市や小松市等を背後圏とする物流拠点として、地域経済を支えている一方で、大浜埠頭では貨物と船舶の大型船に備えて13メートルの水深化を図り、17万トン級の客船対応も可能です。また、平成28年度のクルーズ船寄港実績としては、30本となります。戦略としては、数値ではなく質を重視しており、特に欧米系の富裕層をターゲットにしているとのことです。特に注目すべきクルーズ船受け入れ体制としては、金沢港クルーズ・ウェルカム・クラブを設立し、設立1ヶ月で会員千人を超えた経緯があります。クラブの対象会員は、クルーズ船の乗客を歓迎したい方や港、クルーズ船に興味のある方など、誰でも入会可能です。

石川県では、県民あげての石川らしい「おもてなしの心」溢れる歓送迎を実施しております。具体的には、加賀友禅でのお出迎えや、YOSAKOIソーランメンバーによる旗振り等があります。船会社からの評判は良く、「バスツアーに出かける乗客は、普段なら歓迎イベントでは急いでバスに乗り込むことが多いが、金沢港では皆足を止めるのが珍しい」との意見や「これだけ盛大な見送りは乗客の満足度を上げる重要なポイントです」との声をいただいております。さらに、船の乗組員からは、「歓迎の際における旗と踊り演舞について、大勢の乗客が感動のあまり涙を流し、日本中、いや世界中で我々が見てきた歓送迎イベントの中で最高の演舞であり、日本の船旅で最も思い出深いものとなるでしょう」とメールが届いております。

 

・神戸市のクルーズ船誘致への施策展開について

神戸市では、大型客船クルーズ船が寄港するポートターミナルでは、観光インフォメーションブースの改修や大型モニター設置などを実施し、おもてなし機能強化を図っております。平成28年度からは、港やクルーズ客船を身近に感じていただくために、クルーズ船が神戸港に入出港する様子を写した動画を市街地等で放映しております。また、おもてなしコンシェルジュ配置。

具体的には、元町・三宮の都心商業地において、外国人乗船客やクルーが買い物や飲食などの場面で円滑なコミュニケーションが図れるよう、「コンシェルジュ」を商店街に配置。本年度は、神戸開港150周年を迎えており、海フェスタや海の日を中心とした体験イベント等も開催予定です。

神戸市においては、市民の方々と外国人乗客船が交流できる場所づくりや市民の方々による歓迎イベントを実施する必要があると考えます。客船誘致数は、毎年100隻前後は神戸港に誘致しているため、これから量(入港隻数)を確保しながら質を上げていき、ハードだけでなく、ソフト面の充実も課題であり、市民の皆さんが親しみやすいアイデアや工夫が必要です。

 

第3章

■シェア金沢の取組みについて

・課題

住民の方々に当事者意識を持って、地域おこしに参加していただき、住民の皆さんが自分たちの施設として主体的に関わっていくことが大切です。シェア金沢では、2015年4月に温泉施設がオープンした際は、地元の人が企画していただき、施設側は関わっていない状況です。

 

・シェア金沢の取組みについて

政府は、まち・ひと・しごと創生本部において日本版CCRCを推進しております。政府関係者や自治体関係者等が、シェア金沢を視察する機会が増えています。CCRCとは、Continuing Care Retirement Communityの略で、直訳すれば継続的なケア付きの高齢者たちの共同体です。仕事をリタイアした人が第二の人生を健康的に楽しむ街として米国から生まれた概念で、元気なうちに地方に移住し、必要な時に医療と介護のケアを受けて住み続けることができる場所を指す。

日本版CCRC構想とは、「東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じて 地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療や介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」を目指すことです。本構想の意義としては、①高齢者の希望の実現、②地方へのひとの流れの推進、 ③東京圏の高齢化問題への対応の3つの点があげられます。

担当者によれば、シェア金沢はCCRCを目指してまちづくりをしたわけではなく、「ごちゃ混ぜ」というキーワードのもとに地域の方々に憩いの場を提供して、障がいのある人もない人も老若男女すべての人が来る場所づくりを目指しています。

つまり、子どもから大学生、高齢者や障がい者が一緒になって交流し、地域社会づくりに貢献しています。サービス付き高齢者向け住宅やアトリエ付き学生向け住宅、自閉症の子どもたちの住む家があります。

佛子園の主な取組みを記載します。

  1. 石川県美川駅での取組み

障がい者の仕事は、駅の清掃、警備、管理、駅の中のカフェ運営、ギャラリーの運営、駅前の駐輪場・駐車場の管理を行っています。また、駅には高齢者・障害者向けのデイサービスがあります。通常駅での乗降者数の約1.5倍もの人数がデイサービスやカフェ等を利用しており、駅を拠点にまちが活性化しています。

 

  1. 奥能登ビール醸造での取組み

佛子園の関連施設である日本海倶楽部では、障がいを持った方々を対象に就労事業に取組んでおり、全国で170店舗、首都圏の約70店舗で飲んでいただいています。従来は重度障がい者を対象とした児童施設や更生施設が中心であったが、授産施設として1998年にスタートしたのが日本海倶楽部です。

※授産施設とは、心身上の理由や世帯の事情により就業の困難な者に、就労や技能修得のための機会を与え、自立を助長することを目的とする施設です。

 

3、西圓寺での取組み

もともとは、55世帯しかない小さなコミュニティで450年続いた浄土宗のお寺で、廃寺になったのを機に、コミュニティセンターへと転換した。現在では、11世帯増えて66世帯となり、石川県では最も人口増加率が高い地域となります。西圓寺での活動により、様々な世代や障がいがある人ない人が集まることで、地域が元気になり、人が施設にいるのではなく、地域でケアしながらまちの中にいられることになります。

 

・神戸市の福祉施設への施策展開について

シェア金沢ではないですが、神戸市では、こどもからおとなまで、お年よりも障がいのある人も、誰もが楽しめる花と緑あふれる総合福祉ゾーンである「しあわせの村」を展開しております。

神戸市は昭和52年、健康で文化的な生活水準を全市民に保障する目的で、全国に先がけて「神戸市民の福祉をまもる条例」を制定。そして、この条例の基本理念である「自立と連帯」を、具体的な施設整備を通じて実現するために建設されたのが「しあわせの村」です。市政100周年記念事業として、構想から約20年を経て、平成元年4月に市民福祉推進の全市的な核として開村。  すべての市民が交流と相互理解を深め、等しく健康で文化的な生活を享受できる、ともに生きる社会(ノーマライゼーション)の実現を目指し、高齢者・ 障がい者の自立や社会参加を支援する福祉施設と、緑豊かな自然の中で、すべての市民がリフレッシュできる都市公園を一体的に整備した複合施設です。

神戸市の福祉行政においては、地道に仕事を着実にこなしていただいております。しかし、時代とともに移りゆく福祉行政について、シェア金沢のような新たな発想や福祉展開が必要な時代になってきており、現実に即した対応をしていくことが必要です。これまでの、施設ごとに切り分けて、縦割りの施設を運営していく手法から脱却して、あらゆる世代や障がいのある方ない方を含めての福祉施策が求められるのではないでしょうか。今こそ、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)の実現に向けて取り組まなければならないと考えます。なおソーシャルインクルージョンとは、すべての人々を孤立や孤独、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合うという理念です。

近年、高齢者虐待や障がい者施設殺傷事件等の反社会的な事件を考えると、地域での繋がりが薄れつつある無縁社会やコミュニテイが脆弱となっている社会と表裏一体の関係であるとも言えます。

これからの福祉施策は、福祉関係者だけで完結させるのではなく、地域住民の参加やNPOやNGOによるコミュニティビジネスでの運営や雇用機会と就労補償を新しいスタイルで創出しようとしているソーシャルファームなどを活用し、新たな地域再生の取り組みを実行する必要があります。ここでは、働く立場だけでなく、経営者サイドにおいてもソーシャルインクルージョンという理解が必要であると考えます。

これからも、神戸市の福祉行政について、提案や意見を述べさせていただきたいと考えます。