岩谷議員・神戸市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例に反対討論を致しました
活動報告2023.12.06
本日の本会議にて、自民党・公明党・こうべ未来(旧民主系)より上程されました。議員提出議案第8号「神戸市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例」について、日本維新の会神戸市会議員団を代表して、岩谷議員が以下のとおり反対討論をいたしました。
以下、反対討論文。
日本維新の会神戸市会議員団を代表しまして、議員提出第 8 号議案、神戸市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例の件について、反対の立場から意見を述べます。
今回、自由民主党、公明党、こうべ未来より提出された議案では、人事委員会の給与に関する報告及び勧告を勘案した神戸市職員の期末手当の改定に鑑み、本市市会議員の期末手当を増額するとの趣旨と理解しております。
まず人事委員会の勧告制度は、公務員の労働基本権が制約されていることに対する代償措置とされています。すなわち、公務員も勤労者であり、勤務の対価として適正な給与を支給する必要があることから、労使交渉等によって決定される民間企業従業員の給与水準と常勤の公務員の給与水準を均衡させることが基本にあり、人事委員会は中立・第三者機関的な立場から勧告するというものであります。
とすれば、労使関係にない議員は人事委員会勧告に縛られるべきものではなく、ましてや、地方議会議員は自ら条例によって期末手当等の改定が可能であることから、論理必然的に人事委員会勧告が期末手当の増額の根拠とはなり得ないのであります。
では、なぜ今、期末手当を増額する必要があるのでしょうか。物価の上昇は依然として続いており、厚生労働省の毎月勤労統計調査によれば、働く人一人当たりの実質賃金は 18 ヶ月連続で前年比マイナスとなっています。
また神戸市交通事業審議会は、神戸市バスの運賃を 30 円程度値上げの改訂が必要であると市長に答申するなど市民生活はますます経済的に逼迫していくことが予測されます。
さらに先般、神戸市の人口がついに 150 万人を割ったことが大きく報道されました。このままの傾向が続けば、超高齢化社会の進展に伴う扶助費の増大により、本市の財政収支は一層厳しくなるとの見通しがされています。そのような状況において、全国の政令市の中で、人口規模が国内最大の横浜市についで 2 番目に高額である議員報酬を受け取っている神戸市会議員の期末手当を、さらに増額させることは、市民からの理解を到底得られるものではありません。実質賃金の上昇及び、さらなる行財政改革を推進し、市民生活を改善・ 向上させていくことが最優先であります。
ところで先般、国会においても議員の期末手当の増額に関する議論が巻き起こっておりました。
これについて公明党の石井啓一幹事長は、本年10月13日の定例記者 会見において「国民の実質賃金がプラスになる状況までは控えるべきであると、公明党としては考える」と述べられていました。石井幹事⻑のご見解は、まさに大衆に寄り添ったものであり、全くもってその通りであります。
また立憲⺠主党の岡田克也幹事長も、先月 7 日の定例記者会見において、歳費の増額分に関して「物価が上がる中で厳しい状況に置かれている人が多く、今の経済や国民生活の状況を見たときに我々がそれを受け取るということで良いのか」と述べられておりました。この発言にも、賛同できます。是非とも、両党各会派の議員の皆さまには、党執行部の方々の思いを真摯に受け止めていただきたいと切に願います。なお両党及び自由⺠主党の国会議員団は、期末手当の増額分を徴収した上で公益団体等に寄付するとの方針を示されていることを付言しておきます。
さて、先の 9 月議会において、当会派から議員報酬等の削減に関する条例案を提出致しましたが、残念ながら否決されてしまいました。その際、自由民主党は、反対討論において、協議を重ねて最善の結論、合意点を追求するという議会制⺠主主義のあり方を否定するものであり決して容認できるものではないと、当会派による条例案の提出方法に対し、厳しい批判をされました。
自由⺠主党の見解としては、期末手当を含む議員報酬等を下げることに関しては、議会における丁寧な議論、そして合意が必要である一方で、期末手当を引き上げることに関しては、議論の場を一切設けず、また最善の結論、合意点を追求する必要がないということでしょうか。我々としては、このダブルスタンダードをどのように理解すればよいのでしょうか。なお、人事委員会勧告から論理必然的に地方議会議員の期末手当引き上げが導かれないことは、先に述べた通りです。
最後になりますが、同じく自由民主党による当該反対討論において、大変印象的な一節がありましたので、それを引用しつつ当会派の反対討論を締めたいと思います。
市民のための公平公正、正義を実現するため、更なる専門性と監視分析能力を磨き高めていくこと、そうした本来の議会のあり方、職責、責任に対し私たちは十分な役割を果たしたてこれたでしょうか。我々議会の取り組みは十分だったでしょうか。
今最優先すべきは、市政と市⺠生活向上のため、議会の権能と機能、効率性を高め、市民に対する還元を最大限もたらすこと です。そうした根本的な振り返りと検証のないまま、議員が自らの期末手当を引き上げることは、市⺠の議会に対する信頼を損なう行為であり、日本維 新の会としては本議案に断固反対することを申し上げ、会派を代表しての反対討論とします。